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    マスタリング 全工程解説 

    どもです。

    今回は僕が普段やってるマスタリングの工程について書いてみたいと思います。


    と、その前に、僕が思うマスタリングとは・・・


    ・マスタリングは、2mix音源の音圧とEQを目指してる方向性に限りなく近づける作業


    こんな感じに考えてます。

    2mix音源の音圧調整とイコライジングで、ミックス段階で作業するより良い結果が得られるものを
    マスタリングで作業するイメージです。

    では、まずはこちらをお聴きください。




    これは僕が参加してるSilently Shooting Traitorsの「Breath」という曲の
    2mix音源です。

    ミックス時にマスターチャンネルにリミッターを挿して、ピークを超える信号は
    -0.2dbに抑えてますが、ほとんどピークを超えないような音圧にしてます。
    RMSだと-15.5db~-14.5dbぐらいです。

    波形はこんな感じ(画像クリックで拡大)

    01.png



    これをマスタリングすると、このようになります。(音量大きくなるので注意)





    市販CDで聴ける音量・音圧になっているかと思います。
    また、EQもより重くソリッドな感じになったかなと思います。

    波形はこんな感じ(画像クリックで拡大)

    02.png


    音量が全然違うためにEQの差がわかりにくいかもしれないので、
    2mix音源とほとんど同じ音量にしたものも貼っておきます。




    では、音源にどんな処理をしたのか、まず簡単にまとめてみます。

    1.歪み足し(Sonnox Inflator)

    2.コンプでM/S処理+音圧上げ1(Waves PuigChild670)

    3.EQで味付け(Eiosis AirEQ、Waves R-EQ)

    4.コンプで音圧上げ2(Waves H-Comp)

    5.マキシマイザで音圧上げ3(Slate Digital FG-X)

    6.ボリュームオートメーション


    12.png



    以上です。

    音圧上げ作業が3回も出てきて、どんだけ上げてるんだと思われるかもしれませんが、
    一つのプラグインで6db上げるよりも、二つのプラグインで3dbずつ上げるほうが
    自然な結果になるので、こんな工程になってます。

    では一つずつ解説していきます。


    1.歪み足し(Sonnox Inflator)

    03.png
    (画像クリックで拡大)

    マスタリングの始めはまず歪みを足します。
    歪みといってもギターのディストーションのようなものではなく、
    ほどよく飽和させてアナログ感を出す使い方です。

    今はInflatorを使ってますが、昔はVintage Warmer2を使ってました。

    セッティング
     INPUT +1.5db
     EFFECT 15.0%
     CURVE +10.0

    EFFECTはInflatorの特徴である荒い歪みを追加します。
    CURVEを増やすとよりパンチ感が出ます。

    控えめなセッティングで、ON/OFFで若干音量が上がって
    派手になったな、ぐらいの感触にしてます。

    この控えめな効果が後ろにコンプを重ねることで強調されていくので、
    先に適当な値で処理を進めて、後でうるさくなりすぎたら絞っていく方法がおすすめです。


    2.コンプでMS処理+音圧上げ1(Waves PuigChild670)

    04.png
    (画像クリックで拡大)


    PuigChild670は、コンプの名機Fairchild 670のモデリングで
    愛好している人も多いです。

    これ使うだけで音がかっこよくなるので、僕もミックスでドラム、
    ベースなど荒い音がほしい楽器に挿してます。

    PuigChildにはオリジナルにはないM/S処理が可能になってて、
    M/S処理はマスタリングで非常に重要なので、一つM/S処理ができる
    コンプやEQを持ってると捗るかと思います。

    セッティング
     モード    LAT/VERT(M/Sモード)
     INPUT GAIN  -12db
     THRESHOLD   LAT(M) 2.2 / VERT(S) 4.2
     TIME CONSTANT 5
     OUTPUT GAIN  LAT(M) 3.2db / VERT(S) 2.6db

    このコンプには一般的なコンプのパラメータがないのでわかりにくいですが、
    INFPUT GAINでコンプに突っ込む音量を決めて、THRESHOLDでコンプの掛かり具合を決めます。
    リダクション(左のメーター)が-3~-5dbをうろつくぐらいです。

    TIME CONSTANTではコンプのアタックとリリースを決めますが、5だとわりと緩めの設定で
    ステレオ音源に適してます。

    ここでもそんなにきつい設定にはしてなくて、そもそもマスタリングでは
    きつい設定にしても良い結果になることはあまりないので、緩い設定を重ねて
    綺麗な仕上がりを目指してます。

    で、肝心のM/S処理についてですが、MIDの方がコンプが弱く掛かるようにしてます。
    これは、MIDにはキック、ベース、ボーカルといった曲のダイナミクスに影響の大きい楽器が集まっていて、
    コンプを掛けすぎるとダイナミクスがなくなって平坦になってしまうためです。

    SIDEはギター、シンバル類、シンセなどダイナミクスの影響が少ないものが多いので、
    ほどよくギターがスピーカーに張り付く感じが出るくらいの設定にしてます。

    ただ、SIDEの音がMIDより前に出てしまうと、音源の前後感がおかしくなってくるので
    OUTPUT GAINで音圧を上げつつ、MIDが前に出るような調整をしてます。


    3.EQで味付け(Eiosis AirEQ、Waves R-EQ)


    05.png

    06.png
    (画像クリックで拡大)


    EQは2つ使ってますが、バンド設定が多いプラグインを持っていれば1つでも良いと思います。

    セッティングが細かくなるので、まとめます。

     ・30Hz以下 緩やかに減少
     ・35~45Hz キック、ベースのウーハー音域 +1.2db
     ・40~60Hz ブーミーな低域 -1.5db
     ・80~300Hz 低域の中心 +1.5db
     ・800~2000Hz 中域の中心 -1.2db
     ・3~6kHz 高域のざらついた部分 0.8db
     ・10~14kHz シンバルのシャリシャリ部分 +1.4db
     ・16kHz以下 緩やかに減少

    簡単に言うと緩やかなドンシャリにしてるんですが、
    普通は500~800Hzを削るとドンシャリになるんですが、
    この音源は2mix時点でその辺りが結構削れてるので、ここでは触りません。
    AirEQでアナライザが見えてますが、この時点で500~800Hzが結構削れてるのがわかると思います。

    低域の処理では、40Hz付近をQ幅狭くして突くことで、海外のハードコア系音源のような
    重厚な感じを目指しました。
    突いた結果ブーミーになりすぎたところは、R-EQで削ってます。

    あとは全体の重心を下げたかったので、一番楽器が集まってる1~2kHzを削って低域に寄せてます。

    全体的にQ幅を広くとって、バランスを崩さないように心がけてます。


    4.コンプで音圧上げ2(Waves H-Comp)

    07.png
    (画像クリックで拡大)

    セッティング
     THRESHOLD -3.0db
     ATTACK   30ms
     RELEASE  50ms
     RETIO   1.3:1
     PUNCH   1.5
     OUTPUT   2.3db

    一般的なコンプとほとんど同じパラメータですが、H-compを使う理由に
    PUNCH というパラメータがあり、これを増やすと荒々しくなります。
    といっても設定値は1.5なんで、隠し味程度です。
    アタックは緩やかに、リリースはキックやスネアに合わせて針が触れるような感じにしてます。

    前段で上げてきた音圧によって、2mix時ではほとんどピークに触れてなかった音源が、
    キックやスネアが鳴る度に触れるようになってきてます。

    効果的に音圧を上げようとすると、尖ったアタックはなるべく平坦にすると良いので、
    マキシマイザで使う前の地ならしと思っていただければわかりやすいと思います。

    ただし、平坦にする一心でアタック設定を短くしすぎるとのっぺり音源になってしまうので、
    あくまで自然な効果になるように注意します。


    5.マキシマイザで音圧上げ3(Slate Digital FG-X)

    08.png
    (画像クリックで拡大)


    マキシマイザはFG-Xを使ってます。
    いくつかマキシマイザは持ってますが、今のところ一番使いやすいです。
    FG-Xは粘りのある音になってアナログ感が出るので、意図しない結果になる場合は、
    スムーズな仕上がりになるFabFilter Pro-Lが良いかもしれません。

    FG-Xはコンプ段とリミッター段に分かれてますが、コンプ段の解説は省略します。
    効果はH-Compと同様軽くピークを抑えてます。
    本当に軽くで、リダクションは0.5db程度です。

    セッティング
    LOPUNCH       0.5
    DETAIL        0.5
    GAIN         3.3db
    DYNAMIC PERCEPTION  0.6
    ITP         0.0

    LOPUNCHとDETAILはそれぞれ低域と高域のおいしいところを強調するのですが、
    上げすぎるとうるさいので控えめにします。
    DYNAMIC PERCEPTIONは上げるとSIDEの音が強調されて飽和感も増加します。
    ITPはHARD側に寄せるとアタックが強調されてますが効果がよくないので使ってません。

    RMSは-8.0あたりに落ち着くようにしてます。


    6.ボリュームオートメーション

    全体の音圧を上げた結果、Aメロなど静かな部分も必要以上に大きくなってしまうので
    オートメーションで1dbほどボリュームを下げてます。

    その他、ブレイク部分だけボリュームを下げたりするとキレがよくなります。


    (2016/5/8追記)------------------
    誤解のある表現だったので補足しますと、オートメーションはマスタートラックではなく、
    2mix音源のオーディオトラックで操作してます。
    つまり、プラグインを挿す前段での操作になるので、インプットゲインを絞っていることになります。

    インプットの音量が下がるとコンプの掛かりが弱くなるので、必要以上にダイナミクスが失われることを
    回避してます。

    11.png
    (画像クリックで拡大)
    -------------------------------


    以上がマスタリング全工程です。

    どのプラグインも結果的にこの値になりましたが、実際は効果を確認しながら
    0.1db単位の微調整を繰り返しながらプラグインを行ったり来たりしてます。

    不要と感じればOFFにしたり別のものに替えたりします。


    いかがでしたでしょうか。
    マスタリングの解説や音圧の上げ方は結構他のブログや解説本も出てるので
    それらと併せてみると、自分に合ってるやり方が分かってくると思います。

    今回紹介した「Breath」の2mix音源をフルで置いときますので、
    マスタリングの練習や参考にお使いください。

    Breath 2mix音源
    ダウンロードパスワード breath

    できるだけ具体的に書いたつもりですが、わかりにくい部分あれば質問いただければと思います。

    ではでは~
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